静岡希少疾患ネットワーク

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拡大新生児スクリーニングについて

拡大新生児スクリーニングとは

 早期発見・早期治療の効果が非常に高い疾患を新生児期に見つけるために行われる検査を新生児スクリーニングといいます。今まで、全国で公費による新生児マススクリーニング(公費マス)が行われてきましたが、近年の診断技術と治療法の進歩により、対象疾患が増えてきました。そのような疾患を対象に行われる検査を拡大新生児スクリーニング検査と呼びます。本邦では、公費マスとは別に、それぞれの地域で独自に実施されており、対象疾患や実施体制も異なっていますが、この1,2年で急速に広がっています。このたび、全県的な実施体制を整備し、静岡でも拡大新生児スクリーニング検査を開始しました。

対象疾患と方法

 本事業では、重症複合型免疫不全症、B細胞欠損を伴う免疫不全症、脊髄性筋萎縮症、ポンペ病、ファブリー病(男児のみ)、ムコ多糖症Ⅰ型、ムコ多糖症Ⅱ型を対象としています。希望者に対して有料で行う検査となっていますが、公費マス用に採血した濾紙血検体を用いて検査することができます。

実施体制

 静岡県立こども病院が実施主体、静岡県予防医学協会が検査施設となっており、分娩施設と3者で契約を結んで検査を実施します。また、陽性となった方に対し迅速に対応し、正確な診断、適切な治療に遅滞なくつなげられるように、こども病院と浜松医科大学小児科、聖隷浜松病院小児科の専門医で静岡希少疾患ネットワークを組織しています。

現状と今後

 対象疾患の1つである重症複合型免疫不全症は、今まで感染症にかかったり、生ワクチンであるロタウイルスワクチンやBCGワクチン接種により、致命的な有害事象をきたしたりしてから診断されていました。拡大新生児スクリーニング検査により、無症状のうちに診断され、感染を予防して、早期に造血細胞移植をすることで、治療成績が上がることがわかっており、米国、台湾など多くの国で全出生児が本検査の対象となっています。また、脊髄性筋萎縮症についても、症状が出る前に見つけて治療することで、以前には期待できなかった劇的な治療効果がみられることが知られています。2023年10月16日から静岡県立こども病院で開始し、参加施設を増やしています。今後、静岡県全域に広げることを目指しています。本事業により、静岡県でも、希少難病の子ども達を、症状が出る前に発見し、診断・治療につなげることで、命を救い、生活の質を格段に改善するようにしていきます。

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