静岡希少疾患ネットワーク

医療関係者向け
お問い合わせフォーム

追加検査の対象疾患

拡大新生児スクリーニング検査の対象疾患についてご説明しています。
通常の新生児マススクリーニング検査対象の病気と合わせてご覧ください。

ポンペ病(国の定める指定難病19 ライソゾーム病の1つ)

主に筋肉の細胞にグリコーゲンがたまるため、筋組織が障害され筋力の低下を引き起こします。
また、それに伴う成長・発達の遅れや呼吸の障害をきたし、最も重症なタイプだと心臓の筋肉も影響を受け、心機能が低下し、治療を行わないと2歳までに死亡する可能性が高い病気です。
病気の解説 酸性αグルコシダーゼという酵素の働きが生まれつき不十分なため、グリコーゲンが体中の細胞(特に体の筋肉や心臓の筋肉)にたまって筋力が弱まる病気です。患者さんは4万人に1人と推定されています。
主な症状 筋力低下、成長・発達の遅れ、心機能障害、呼吸困難、呼吸器感染症、誤嚥性肺炎など。
治療法は? 点滴から酸性αグルコシダーゼ酵素を補充する方法があります。
補充することでたまっているグリコーゲンを分解し、症状の進行を抑えます。
早く見つけることの重要性は? 症状が出る前から治療を開始することで、生存率が改善するだけでなく、人工呼吸器を必要としない生活ができる可能性が高まり、運動の発達の遅れを改善することが分かっています。

ファブリー病(国の定める指定難病19 ライソゾーム病の1つ)

子供のころは手足の痛み、汗をかきにくい、発疹、腹痛・下痢などの消化器症状が現れ、大人になると腎臓や心臓の機能障害や脳血管障害、難聴などを引き起こします。
病気の解説 αガラクトシダーゼという酵素の働きが生まれつき無い、または低いため、グロボトリアオシルセラミドが血管や心臓、神経の細胞にたまって症状を引き起こす病気です。患者さんは7,000人に1人と推定されています。
主な症状 発汗障害、手足の痛み、発疹(赤い血管腫)、消化器症状、脳血管障害、心機能障害、腎機能障害、難聴など
治療法は? 点滴からαガラクトシダーゼ酵素を補充します。補充することでたまっているグロボトリアオシルセラミドを分解し、症状の進行を抑えます。
早く見つけることの重要性は? 心臓や腎臓の機能障害、脳血管障害が進行してしまった場合に治療を開始しても、あまり有効ではないため、早いうちに診断し治療する必要があります。ただし、現在の技術ではこの病気を持つ女性を見つけられない可能性があるため、男児のみを対象としています。

ムコ多糖症Ⅰ型(国の定める指定難病19 ライソゾーム病の1つ)

ムコ多糖は主に骨、関節、脳、肝臓、呼吸器、心臓弁膜などの細胞に蓄積しやすいので、骨の変形、関節拘縮、中耳炎、精神運動発達の遅れ、発達の退行、呼吸障害、心臓弁膜症などの症状が現れます。
病気の解説 α-L-イズロニダーゼという酵素の働きが生まれつき無い、または低いため、ムコ多糖といわれる物質が全身の様々な細胞にたまって症状を引き起こす病気です。患者さんは10万人に1人と推定されています。
主な症状 骨の変形、関節が固くなる、中耳炎、精神運動発達の遅れ、発達の退行、呼吸障害、心臓弁膜症
治療法は? 点滴からα-L-イズロニダーゼ酵素を補充する方法があります。補充することでたまっているムコ多糖を分解し、症状の進行を抑えます。また、造血幹細胞移植を行うこともあります。
早く見つけることの重要性は? 症状が出現する前に診断し、治療を開始することで、症状の改善や進行を抑えることができます。

ムコ多糖症Ⅱ型(国の定める指定難病19 ライソゾーム病の1つ)

ムコ多糖は主に骨、関節、脳、肝臓、呼吸器、心臓弁膜などの細胞に蓄積しやすいので、骨の変形、関節拘縮、中耳炎、精神運動発達の遅れ、発達の退行、呼吸障害、心臓弁膜症などの症状が現れます。
病気の解説 イズロネート2-スルファターゼという酵素の働きが生まれつき無い、または低いため、ムコ多糖といわれる物質が全身の様々な細胞にたまって症状を引き起こす病気です。患者さんは5万人に1人と推定されています。
主な症状 骨の変形、関節が固くなる、中耳炎、精神運動発達の遅れ、発達の退行、呼吸障害、心臓弁膜症
治療法は? 点滴からイズロネート2 -スルファターゼ酵素を補充する方法があります。補充することでたまっているムコ多糖を分解し、症状の進行を抑えます。また、造血幹細胞移植を行うこともあります。
早く見つけることの重要性は? 症状が出現する前に診断し、治療を開始することで、症状の改善や進行を抑えることができます。主に男児に発症するため、男児のみを対象としています。

重症複合免疫不全症(国の定める指定難病65原発性免疫不全症候群のひとつ)

生まれてすぐに肺炎、下痢、中耳炎、皮膚感染症など様々な感染症に罹ってしまいます。適切な治療を行わないと1歳まで生きることは困難です。また、予防接種のうち生ワクチン(ロタウイルスワクチン、BCG、MRワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンなど)で感染を起こしてしまう場合もあります。
病気の解説 重症複合免疫不全症(SCID)は、生まれつき免疫細胞(T細胞)が作られず、身体を守る免疫の働きが弱いことで、感染に対する抵抗力が下がり、重い感染症に罹ってしまう病気です。患者さんは5万人に1人と推定されています。
治療法は? 感染予防のために抗菌薬や抗ウイルス薬の投与、免疫グロブリンを補充します。根治治療として造血幹細胞移植があります。
早く見つけることの重要性は? 重い感染症に罹ることを未然に防ぐことができます。また、それによって造血幹細胞移植の成功率を上げることができる可能性もあります。

B細胞欠損を伴う免疫不全症(国の定める指定難病65原発性免疫不全症候群のひとつ)

母体から赤ちゃんに移行する抗体が失われる生後4~6か月ごろから細菌による中耳炎、気管支炎、肺炎などを反復するようになります。また細菌性の敗血症や髄膜炎、ウイルス性脳炎などの重篤な感染症にもかかりやすくなります。
病気の解説 生まれつき免疫グロブリン(抗体)を産生する免疫細胞(B細胞)が作られず、感染症や毒素から体を守る抗体が欠損し、重い感染症に罹ってしまう病気です。患者さんは20万人に1人程度と推定されています。
治療法は? 免疫グロブリン(抗体)を定期的に補充することで感染を予防できるようになります。
早く見つけることの重要性は? 重い感染症に罹ることを未然に防ぐことができます。また感染症を繰り返すことによる組織障害を予防することもできます。

脊髄性筋萎縮症<SMA>(国の定める指定難病3)

進行性に筋力が低下し筋肉が萎縮します。重症型ではお座りをすることもできず、呼吸に関わる筋力も低下して呼吸困難、呼吸不全となり乳児期に亡くなることもあります。うまく痰を出せないことや飲み込みがうまくできないことで肺炎になることがあります。
病気の解説 運動神経細胞の生存を維持するSMNタンパクを作る遺伝子の機能が不十分で、脊髄にある運動神経細胞が徐々に変化、消失することで脳からの信号を筋肉に伝えられなくなる病気です。患者さんは1~2万人に1人と推定されています。
治療法は?

点滴からSMNタンパクを作る遺伝子を体内に取り入れる治療や、患者さんの細胞にSMNタンパクを多く作らせる作用のある薬を腰から針を刺して脊髄腔に注射もしくは内服する治療があります。

(※薬によって投与可能な月齢が異なります。)
早く見つけることの重要性は? 既に消失した運動神経細胞を再生させることは難しく、より早期に治療を開始することでより多くの運動機能を獲得し、呼吸不全の進行を抑えられる可能性が高くなります。